中国ルールのうんちく(3) ~ダメ半コウを徹底解説
中国ルールには、実質的に両方の着手均等という原則が含まれている。すなわち最後の手は必ず白番が打つことになる。着手均等ということで、どちらが1回パスすると1目の損をする。
ちなみにアメリカのAGAルールでも、着手均等原則があって、パスするとアゲハマ1目を渡すのだ。
最後の半コウ争いを迎える局面では、コウ材有利の方はダメの詰め合いの進行で、相手をパスさせて有利にすることがよくある。
成功した場合は1目の得をするから、半目勝負の局面ならば大逆転の可能性がある。
黒1白2の後、黒3とダメを詰める。コウを取られたらコウ立てして取り返すという黒の抵抗手法だ。
仕掛けを受ける側は、ダメヅマリをコウ立てにできる。
ダメが奇数あるのは、ダメ半コウを仕掛ける前提条件だ。
そもそも受ける側は、もし偶数のコウを作ることが可能ならば、相手によるダメ半コウの仕掛けがなくなる。
例の進行手順を見ていこう。
黒1、3、5はいずれも両先手のコウ材だから、先に交換しておくことが大事だ。
先に黒1の交換をしないと、白に1とホウリコんでコウ材を作られてしまうので、黒1から5までの手順は間違ってはいけない。
先に5と打つと、またコウ材の損をする。
大体黒が仕掛ける側であれば、白は先に手抜きしてコウを解消するので以上の交換はまず成立しない。
要するに優勢でダメ半コウを仕掛けてきそうな場合、1目の小ヨセより、半コウを解消したほうがよい。
実戦におけるダメの詰め合いの進行をめぐって、仕掛ける側はコウ材の増やし方や相手コウ材の減らし方など、様々の筋は現れるはずだ。コウ材の数は実利なのだ。
相手が仕掛けてきたら対処法は?
ダメの詰め合い進行によって、相手のコウ材を減らすことがいちばん大事だ。
先に黒1から3とダメを詰めてコウを取るのは筋。
コウ立ての受け方も大事。完璧な手順が求められる。
二段コウ、もしくは以上
ダメ半コウの争いによって、1目以上の得をする可能性はあるが、実戦には滅多に出ない状況だ。
小ヨセの進行に戻って考察しよう。 以下、コウを取る手番は「持つ」と言う。
多数の半コウが盤上にある
- 半コウ2つを持つ局面。
黒番が勝勢側であれば、コウを取ってもよい。
黒番が敗勢側であれば、ダメを詰める。こうして1つ目のコウを解消して、2つ目で争おう。先にコウを取ってしまったらおしまいだ。もちろん白番の立場としては早めにコウを解消した方がよい。
- 半コウ3つを持つ局面
黒がダメを詰めると、コウ1つ解消してくきて1つを取るとよい。
先に黒がコウを取ると、残りの2つは一人ずつ解消するから、これでコウ1つの状況と同じことになる。白にダメ半コウを仕掛けられる可能性が生じるのでよろしくない。
従って、半コウ3つを持つ場合、やはり取らない方が無難だ。
以上でわかること
- それぞれのコウを両方が持ち合うと、コウが存在しないことと同じ。
- 片方がコウ3つを持つ以上、コウが存在しないことと同じ。
「3の倍数」でわかること
盤上にある半コウは3つずつ解消されるので、イコール0、1、2でしかない。
半コウ=0 3つずつ解消すればよい。
半コウ=1 コウを持つ側は、取るとよい。しかし相手の番であれば、仕掛けられる可能性がある。
半コウ=2 コウを持つ側は、仕掛けていく可能性がある。相手の立場としては、早めにコウを解消した方がいい。
以上。
おまけ
仕掛けずに終わる万年コウ
右下に黒は3目ある。
最後にダメを詰め尽くしてからコウを取るので、白をパスさせてコウを解消することができる。
「取らず3目」
「隅の曲がり四目」と同じように、盤上にある全てのコウ材を解消してから、白は1から3とマガるのは筋だ。